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土地家屋調査士が測量で扱う4つの距離

測量には、大きく分けると

  1. 斜距離
  2. 水平距離
  3. 球面距離
  4. 平面距離

の4つの距離があります。

今回は、この4つの距離をご紹介し、その距離が実務でどのよう扱われているかを記事にしていきたいと思います。

斜距離

実際に測った距離は、測量機械からある目標までの角度がある距離です。
その距離は斜めであるため、水平距離と区別して斜距離と呼ばれます。

光波又は電波で測った距離は、斜距離としてディスプレイに画面に表示されます。

水平距離

測量機器からある目標に対する距離(斜距離)とその角度(高度角)から算出された、水平な距離を水平距離と言います。

この水平距離は、直接に測ることは出来なく、測った距離と角度から計算し算出されます。そして、この計算要素である角度を正確に得るために、測量技術者は地面(重力対して)に垂直に測量機械を設置します。測量機器をどれほど地面に対して垂直に設置等が出来るかが、この水平距離の精度に関わっていきます。

土地の測量図面などに記載してある距離は、この水平距離であり、不動産登記上で扱う距離は一般的に水平距離です。

また、後述する世界基準の平面直角座標系で図面が作成されている場合には、球面から平面に投影する縮尺係数で調整された平面距離(世界測地系)が、不動産登記法上で扱う距離になります。

(地積)第100条 地積は、水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一(宅地及び鉱泉地以外の土地で十平方メートルを超えるものについては、一平方メートル)未満の端数は、切り捨てる。

不動産登記規則100条

不動産登記規則では、土地の表示に関する登記において、地積は水平投影面積で表さなければなりません。そのため、その距離の表示も水平投影された距離でなければなりません。

斜距離と水平距離について

この斜距離と水平距離ですが、人や組織よっては斜距離のことを実測距離と呼ぶことがあったり、また水平距離のことを実測距離と呼ぶことがあります。

また、昔は現場では斜距離しか観測データを得られず、事務所に帰って計算しなければ水平距離を知ることは出来ませんでした。
そのため、斜距離イコール実測距離でした。
しかし、今では測量機器の進化により、水平距離も同時に計算し、データを得ることが出来るようになったため、水平距離のことを実測距離として呼ぶこともあります

そのため、その場での空気から判断して、その実測距離は何の距離かを判断する必要があります。
実測距離イコール斜距離とは限らないので注意が必要です。

球面距離

球面距離は、測量法の世界では真値(真実に近い値)と呼ばれる距離です。
『測量法で、距離及び面積は、回転楕円体の表面上の値で表示する。』であると記載されています。
そのため、測量法では回転楕円体という球体上の距離(球面距離)で表示された数値が、真値としての距離として扱います。

この球面距離は、水平距離を地球という球体に投影した距離です。

(測量の基準)第十一条 基本測量及び公共測量は、次に掲げる測量の基準に従つて行わなければならない。 位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。ただし、場合により、直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ又は地心直交座標で表示することができる。 距離及び面積は、第三項に規定する回転円体の表面上の値で表示する。 測量の原点は、日本経緯度原点及び日本水準原点とする。ただし、離島の測量その他特別の事情がある場合において、国土地理院の長の承認を得たときは、この限りでない。 前号の日本経緯度原点及び日本水準原点の地点及び原点数値は、政令で定める。 前項第一号の地理学的経緯度は、世界測地系に従つて測定しなければならない。 前項の「世界測地系」とは、地球を次に掲げる要件を満たすへん平な回転楕円体であると想定して行う地理学的経緯度の測定に関する測量の基準をいう。 その長半径及びへん平率が、地理学的経緯度の測定に関する国際的な決定に基づき政令で定める値であるものであること。 その中心が、地球の重心と一致するものであること。 その短軸が、地球の自転軸と一致するものであること。

また、この球体距離は、測量の誤差などを調節したり、測量計算したりする際に使われる数値です。
しかし、この球面距離は基準点測量などの公共測量をする際には必要な知識ですが、土地家屋調査士が行うような宅地などの一筆地の測量では、あまり意識しない概念です。

ただ、土地家屋調査士でも基準点測量をする際には必要な知識でもあります

基準点の成果表の距離は、この球面距離で記載されています。

平面距離

平面距離は平面直角座標として表示するための距離になります。

測量法では、距離は回転楕円体の表面上の値でなければならないと記載されていますが、球体上の距離は土地の測量など比較的狭い測量においては扱いにくいです。
そのため、球面から平面上にさらに投影した距離で扱うことも法律上認められています。
これが、平面距離であり、一般的に世界測地系に基づいた距離と呼ばれるものです。
この平面距離は、全国を19の区分に分けた直角座標(平面直角座標)で表示します。

(測量の基準)第11条 基本測量及び公共測量は、次に掲げる測量の基準に従つて行わなければならない。 位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。ただし、場合により、直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ又は地心直交座標で表示することができる。

測量法11条

この距離の簡易な計算方法は、球面距離(回転楕円体の表面上での距離)×縮尺係数です。

基準点成果表に記載のある距離は、球面の距離です。
そのため、平面距離を求めるためには、基準点成果表に記載のある距離に縮尺係数を掛けて求めます。

平面直角座標系
国土地理院HP参照


この平面座標は、地球という球体を平面に投影する際に生じる誤差を、1万分の1の誤差に収めるために、全国を19の区分に分けてます。

全国19の平面直角座標系
国土地理院HP参照

まとめ

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

土地家屋調査士や測量士などの測量の実務家は、距離を明確に分けて日々業務に取り組んでます。

土地家屋調査士 小川曜(埼玉土地家屋調査士会所属)

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