令和2年の測量士補試験は延期になり、今年の土地家屋調査士受験生は午前の免除を受けられないことから、午前の試験を受けなければならなくなったり、また今年の受験は見送ることにした方が多くいるのではないでしょうか。
このような中、測量士補の取得方法ついて記事にしたので、参考にしてください
土地家屋調査士試験は受験資格はありません。ただ、測量士や建築士等の資格を持っていると午前の試験が免除されることから、ほとんどの受験生が測量士や建築士等などの資格者や合格者であり、午前試験の免除を受けています。
多くの方は、測量士補で午前の免除を受けるのですが、測量士補試験に合格するか、また測量専門学校等の学校を卒業し無試験で測量士補を取得し、土地家屋調査士試験を受験しています。
試験を受験するか、また学校を卒業し測量士補を取得するか、どちらにしようと迷っている方もいらっしゃると思います。土地家屋調査士試験を受ける上で、試験合格と学校卒業よって区別されることはないのですが、学校を卒業し無試験で測量士補を取得した場合、実務経験により測量士の資格を取得することが出来ます。測量士を無試験で取得できるかが試験合格か学校卒業の大きな違いになります。
測量専門学校では、短いものだと一年生の学科があり、およおそ2年間の実務経験で測量士としての資格を取得することが出来ます。
測量士を持っていると、測量業も開業することが出来ます。測量業とは主に公共団体が行う測量を業とするものであり、土地家屋調査士との関連が深いものとして、国土調査と用地測量があります。
国土調査とは、地積の明確のため(国土調査法第1条抜粋)の測量であり、法律に地籍調査とは、”毎筆の土地について、その所有者、地番及び地目の調査並びに境界及び地積に関する測量を行い、その結果を地図及び簿冊に作成することをいう。”(国土調査法2条5項)と定義されています。
この定義によれば、調査対象は土地家屋調査士の調査事項とほぼ合致するものであると思います。法務局における地図には地籍調査によって作成されるものがあることから、土地家屋調査士が行う地図作成とほとんど同じまた近い業務となると思います。
また、土地家屋調査士が行う不動産登記の地積測定における誤差の限度は国土調査別表第四に掲げる精度区分等を受けるため(不動産登記規則10条4項)、国土調査法については土地家屋調査士は必ず理解していなければなりません。
また、用地測量とは、土地及び境界等について調査し、用地取得等に必要な資料及び図面を作成する作業をいいます。(測量法の作業規程の準則第590条)。主に、都市計画等で道路を広げるために、土地の収用・用地の取得をしなければなりませんが、そのためには取得する土地の正しい面積や現況を把握し、取得する土地の部分と残す土地を分ける必要があります。その作業により、公共団体が土地の分筆等の登記をするのですが、その調査・測量をするのが用地測量と呼ばれています。
以上のように、測量業の中には、土地家屋調査士業務に近いものが多いです。国土調査と用地測量の成果である図面は、法務局で保管されることからも、測量業と土地家屋調査士業はとても近いことがご理解頂けると思います。そのため、役所の仕事を受けて、仕事を安定させる目的から、兼業をされているかたは多いです。特に、地方で開業されている方は、兼業されている傾向が強いと感じます。
土地家屋調査士試験の受験者で、測測量業を考えている方は、測量を勉強できることも含め、測量士の免除を受けられる学校を通うことをオススメします。
私のお勧めの測量士補取得方法ですが、
会社をやめられない方は、測量士補の試験に合格するか、東京のみですが中央工学校土木測量科(夜間)、また全国どこでも通える通信制である法政大学文学部地理学科を卒業(大卒は3年次編入可能)する方法があります。時間がある方は、測量士補試験の合格と、測量士を取得できる学校を卒業されることをお勧めしますが、ご自身の環境を判断し、適切だと思う方法で取得してください。
また、一年間受験勉強のために会社を辞められる方は、国土地理院が指定する一年生の測量専門学校に通いながら、5月の測量士補試験に受験し合格し、10月の土地家屋調査士試験を受験する方法をオススメします。時間的に忙しくなると思いますが、測量機器を実際に使用することで、知識を身をもって理解することが出来ますし、いずれは測量士となることができるからです。
また、正社員の経験が2年以上ある方は、ハローワークが窓口の専門実践教育給付金・支援金を利用することができる場合があります。これは学費の7割の補助(限度額等あり)と生活の支援金(失業給付額の8割)を貰いながら勉強する制度で、検討されることをお勧めします。
以上のように、測量士補の取得方法には様々あり、取得の仕方次第で測量士になれたり、またお得な制度もあります。
この記事で、測量士補試験の延期によって影響を得た皆さんにとって効率的な資格取得につながればと思います。
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