今回は、建物滅失登記の申請方法について、記事にしていこうと思います。
建物滅失登記は、専門家に必ずしも、代理申請の依頼しなくても、本人で申請が出来る申請手続の一つです。
法務局のホームページにても、丁寧に説明がされているため、本人でご申請する場合は参考ください。
上記のサイトに記載例がある申請は、専門家に依頼をせずにとも、本人で申請し易い登記申請手続きが記載されています。
少しお時間がある方は、上記のサイトや法務局が行っている登記相談を活用して、自ら申請書とその添付資料を作成し、本人申請してみてはいかがでしょうか。
しかし、上記のサイトに記載されていない手続は専門家に依頼をしなければ、正直なところ難しいと思われます。
是非、その際はお近くの土地家屋調査士にご依頼頂けたらと思います。
建物滅失登記とは
法令等には建物滅失登記に関して、以下のよう記載されています。
不動産登記法第57条に、申請に関して規定してます。
(建物の滅失の登記の申請)
不動産登記法第57条 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。
不動産登記法第57条
そして、上記の申請等などした上で、登記官が不動産登記規則144条に基づき、登記記録が閉鎖されます。
(建物の滅失の登記)
不動産登記規則第144条 登記官は、建物の滅失の登記をするときは、当該建物の登記記録の表題部の登記事項を抹消する記号を記録し、当該登記記録を閉鎖しなければならない。
不動産登記規則第144条
建物滅失登記とは、登記記録を閉鎖するためにおこなわれる登記手続きと言えます。
建物が滅失したとは、どのような状況か?
建物が滅失したとはどのような場合でしょうか?
完全に建物が無くなっている場合は、問題にならないのですが、建物が一部残っているなどしている場合は、滅失しているかを慎重に判断しなければなりません。
特に、取壊し途中であったり、また取壊し建物の一部を再利用をする場合は、不動産登記手続上、建物が滅失したとされないケースもあるため、一部でも建物が残っている状況では、個別具体的に判断しなければなりません。
その際は、お近くの法務局で登記相談されるか、土地家屋調査士にお問い合わせ頂ければと思います。
申請に必要な情報とは
不動産登記申請の方法は、その申請情報とそれ応じて添付情報を用意しなければなりません。
申請の方法に関しては、不動産登記法第18条に規定されています。
(申請の方法)
不動産登記法第18条 登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。
不動産登記法第18条
申請情報に関しては、必要な事項として政令で定めており、不動産登記令第3条に規定されています。
(申請情報)
不動産登記令第3条 登記の申請をする場合に登記所に提供しなければならない法第十八条の申請情報の内容は、次に掲げる事項とする。
(略:項目が多いため条文を参照ください。)
不動産登記令第3条
また、添付情報に関しては、不動産登記令7条に規定されています。
(添付情報)
不動産登記令第7条 登記の申請をする場合には、次に掲げる情報をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。
(略)
六 前各号に掲げるもののほか、別表の登記欄に掲げる登記を申請するときは、同表の添付情報欄に掲げる情報
不動産登記令第7条
不動産登記令第7条6号の別表を確認すると別表(第三条、第七条関係)に建物滅失登記を申請する上での添付情報に関しての記載はありません。
そのため、法律上添付しなければならない資料(法定添付資料)はないことになります。
しかし、建物の取り壊し業者の滅失証明書等の建物を壊したことを証した書面を実印で用意し、印鑑証明書も添付することが通例となってます。
申請情報の作成方法
不動産登記令3条の通りに、不動産登記情報から必要な箇所を、申請書に記入していきます。
この様式も、上記の法務局のホームページからダウンロード出来ます。
物件の表示に関しては、そのまま登記情報の項目を記入して頂ければ大丈夫だと思われます。
ただし、申請人に関しては、登記情報をそのまま書くだけでは、ダメなケースもあります。
登記名義人の住所に変更があった場合や、また登記名義人が死亡されている場合の相続人からの申請などの場合には、申請人欄において登記情報と違う内容を記載する必要があります。
その際には、土地家屋調査士にご依頼頂くか、また法務局の登記相談で必要書類や記載方法を確認する必要があります。
住所に変更があった場合は住民票や戸籍の附票、相続人が申請する場合にはそれを証するための戸籍を添付情報として用意することが一般的です。
以下に、一般的な申請書の記載例を作成しましたので、ご確認ください。
不動産登記情報と申請書の対応箇所について、参考にして頂ければと思います。
滅失証明書等が添付情報となる
第7条6号別表に添付情報について規定はされていませんが、登記実務上では、建物を取り壊した場合に解体業者の『取壊証明書・滅失証明書』、また焼失した場合に消防署の『焼失証明書』を添付します。
また、滅失証明書を作成した解体業者の印鑑証明書を添付するのが、通例となってます。
滅失登記は必ず行いましょう
建物滅失登記は、一ケ月以内に登記申請をしなければなりません。
(建物の滅失の登記の申請)
不動産登記法第57条 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。
不動産登記法第57条
また、不動産登記法164条において、過料の対象であることも確認頂きたいと思います。
(過料)
不動産登記法第164条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで 、第五十七条 又は第五十八条第六項若しくは第七項の規定による申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
不動産登記法第164条
滅失登記において所有者が見つからない時は?
たとえ敷地の所有者であっても、建物の所有者と異なる場合には、建物の滅失登記は出来ません。
その際は、建物の所有者又はその相続人を探さなければなりません。
しかし、どうしても見つからない場合は、申請ではなく、滅失の申出をし、登記官の職権により滅失の手続をすることもあります。
まとめ
最後まで読んで下さりありがとうございました。
建物滅失登記は、不動産表示登記の申請の中でも、簡単な登記手続です。
ただ、建物の滅失登記を放置すると、将来的に申請手続きについて手間も費用も多く負担しなければならないこともあります。
取壊し建物が不明になったりとなどの不都合を防ぐためにも、建物滅失登記は必ず行いましょう。