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土地家屋調査士試験に複素数計算は必要か?

今回は、土地家屋調査士試験の受験生向けの記事になります。
この記事は、測量専門学校の学生から、土地家屋調査士試験には複素数計算が必要なのかとの質問への回答をもとにして記事を作成しております。
複素数計算は名前を聞いただけで難しそうで、自分には無理だと初めから諦めかけた過去の自身を思い出しながらを記事を作成しました。是非一つの参考として読んで頂けたらと思います。
ただ、私はただの合格者であり、受験指導の専門家ではため、受験指導を受けられている方は、その指導に従ってください。

複素数計算とは?

複素数z=x+iyは2つの実数xとyの順序対(x,y)(順序対:順序の関係する2つの数値の対のこと。順序が関係するので(x,y)と(y,x)は異なるものになります)でその値が決まります。このことから複素数は2次元平面上の点と考えることもできるので、実部(Re(z))を横軸に、虚部(Im(z))を縦軸にとった直角座標で複素数を表すことが可能となります。複素数を表す平面を複素平面またはガウス平面と呼び、横軸を実軸、縦軸を虚軸と呼びます。図2-1に直角座標で複素数を表した複素平面を示します。

参照:http://dbkids.co.jp/popimaging/seminar/complex/complexplane.htm

つまり、X座標を実数、Y座標を虚数としたX+Yiという複素数にすることで、平面上の座標として扱うことができ、それを利用して座標計算がおこなわれる計算方法です。

虚数は人間の感覚にはない数字なので、なかなか実感を持って理解が難しい数字です。
しかし、X軸の値を実数、Y軸の値を虚数として関数電卓へ入力し、計算を早く行うテクニックとして身に付ければ、土地家屋調査士試験ではこと足ります。
複素数に関しての難しい概念を理解する必要はありません。

複素数計算を学ぶメリットは二つ

学ぶメリットは2つあると思ってます。

  • 1つ目は、 平面座標のXとYの二つある値を、一つの値として扱うことが出来る点です。
  • 2つ目は、座標計算における三角関数の理解が不十分でも答えを求められる点が挙げられます。

以下に学ぶメリットに関して詳しく記載しておりますので、興味がある方は読んで頂けたらと思います。

① 平面座標の二つあるXとYの値を、一つの値として扱うことが出来る点

X と Y という二つの値を、 X+Yiの複素数という一つの値として扱い、入力の手間と入力ミスをなくすことができ、また短い時間で計算できます。

関数電卓を効率よく計算するためには、メモリーを上手く利用することが大事になります。
そして、関数電卓が扱うことが出来るメモリーの数ですが、A~F、XとYの8つくらいが一般的です。

関数電卓の限られたメモリー機能と複素数を有効に活用することで、座標情報を1つの情報にすることが出来ます。
試験では面積や辺長を出すためにの座標が6つくらいあり、この座標を複素数でX座標とY座標を一つの情報にすることで、ほぼすべての座標値を複素数としてメモリーに格納することができます。
そして、メモリーに入れた値を、そのまま座標計算をすることが出来るコマンドも関数電卓には用意されており、それを利用することで効率よく正確に計算することが出来ます。
つまり、XYの値を実数と虚数からなる複素数という一つの値にすることで、メモリー機能を有効活用しながら、座標計算をすることが出来るのです。
また、面積と辺長を求める際に、必要な座標値を新たに入力する必要がないため、時間の短縮や入力ミスを大幅に減らし効率よく計算することも出来ます。

② 2つ目は、座標計算の三角関数の理解が不十分でも答えを求められる点

角度の計算をする際に、本来ならばその座標の象限に応じたsinとcosの角度を求めればなりません。
しかし、複素数計算ではこの象限を考えずに計算できるため、測量計算に慣れていない、又は理解されていない方でも、電卓の使用方法がわかれば、値を代入するだけで、答えを導きだせることが出来ます。

本来、座標計算は座標の象限をもとにsinとcosに適切な角度も把握し計算しなければならず、慣れている人でも結構間違ってしまうことがあるため、複素数計算のメリットは大きいです。

そのため、複素数計算は余計なミスをせずに計算できます。

複素数計算というより電卓の便利機能を使う感覚

難しそうなイメージから、複素数についてに勉強を避けてしまう方もいらっしゃると思います。
私も、最初は避けようとしていたので、その気持ちは分かります。

しかし、複素数の概念をきちん理解して、土地家屋調査士試験の問題を解いている者はほぼいません。
あくまで、複素数計算は関数電卓に機能のテクニックの一つとして扱ってます。

つまり、この複素数計算は複素数は理解する必要はなく、関数電卓の複素数機能という便利な機能を使い、効率良く、短時間に計算するテクニックなのです。

関数電卓の便利機能である複素数コマンドをいくつか紹介します。

  • 面積を算出するコマンド(共役複素数・Conjg)
  • 距離を算出するコマンド(絶対値・Abs)
  • 角度を算出するコマンド(偏角・arg)
  • 座標を算出するコマンド(X座標+Y座標i+距離∠角度)

以上の機能とメモリー機能を活用するだけで、土地家屋調査士試験の複素数は十分に足りると思います。
また毎回必ず使う機能でもあります。
上記のだけでも覚えるだけで、土地家屋調査士試験の複素数計算はほぼ覚えたことになると思います。

複素数計算を使う落とし穴は有効数字で解決

こんな便利な複素数計算ですが、計算する上で落とし穴があります。
それは桁を合わせるために行われる、四捨五入計算です。
土地家屋調査士試験では、四捨五入計算をすることが問題で指定されることが多いです。
複素数計算を行う際は、計算した値をそのままメモリーに格納すると、求めた座標値を新たにメモリーに格納せずに済むため、とても便利です。
しかし、デフォルトの設定だと、それぞれの計算をフル桁で計算するため、それぞれ四捨五入したであろう数字との誤差が生じることがあり、その点が注意点しなければなりません。

しかし、その問題も有効数字を利用することで、解決できます。
有効数字を、小数点第三位までの四捨五入をおこうなうと設定することで、以上の問題も解決します。
ただし、有効数字が設定されたまま、その他の計算をしないように注意をしなければなりません。

まとめ

今回は、複素数計算について学ぶべきかについて記事にしてきました。

複素数は、時間の短縮だけではなくミスも防ぐことが出来る、かなり便利な機能です。
また、現在のような手簿計算と記簿計算を自動で入力・計算してくれるシステムが多い中で、実務者であるほど複素数計算の方が座標で捉えるとこが出来ることから、違和感がなく計算できるものとして実感に近いものなのかもしれません。

しかし、それはきちんと sin・cosなどの角度と距離に基づいた測量計算のことを理解してこそのものだと思います。
どんなに複素数計算を行っても、頭の中では必ず一般的な sin・cosなどの角度と距離に基づいた測量計算をイメージした上で、問題に取り組んでいかなければなりません。

複素数は理解するものではなく、電卓にある便利機能であり、そして複素数計算をしていたとしても、頭では常にsin・cosなどの角度と距離に基づいた測量計算が出来るように、学習をしていきましょう。

土地家屋調査士 小川曜(埼玉土地家屋調査士会所属)

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