事務所HP(https://office.little-river.jp/)へリンクします。

事務所HP(https://office.little-river.jp/)へリンクします。

建築おける境界とその他の境界との違い

建築図面には、隣地境界線、道路境界線及び敷地境界線の記載がありますが、その境界線は必ずしも筆界や所有権の境界とイコールではありません。

今回は、建築における境界について取り扱っていこうと思ってます。
ただ、建築における境界については法律等に明確に定義されていなく、慣習的なところがあり、地域によって扱い方が異なることがあると思います。
個別具体的なことに関しては、測量や建築の専門家、そして役所に確認して頂ければと思います。

隣地境界線とは

隣地境界線とは、一般的に隣接する建物敷地との境目のことを意味しています。
この境目は必ずしも、登記所が管理する筆界や所有権の境界などとイコールではありません。
そして、隣地とありますが、必ずしも所有権者が異なるとは限らず、同一の所有者であることもあります。
隣地境界線は、所有権権の境などとは関係なく、あくまで建築をするための建物における境界となっております。
しかし、隣地境界線については、所有権や借地権などにより、明確になっていることが望ましいですし、原則として同一であると考えられます。
ただ、昔の建物だと、建物を建築する際に、境界を確認する測量をしていない場合が多いため、他人の土地までも、建築上の敷地として建物を建ててしまう事例も多くあります。
その場合は、市区町村に保管されている建築概要書や、法務局に保管されている公図や地積測量図、現地の状況、そして隣接当事者の認識を聞き、それぞれの境界について確認をしていかなければなりません。

道路境界線とは

(敷地等と道路との関係)
第四十三条 建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。(略)

建築基準法第43条

以上のように、建築基準法では、建築物の敷地は所定の道路に接していなければなりません。

そして、道路については以下のようなものがあります。

(道路の定義)
第四十二条 この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル以上のものをいう。

一 道路法による道路
二 都市計画法、土地区画整理法、旧住宅地造成事業に関する法律、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法による道路
三 都市計画区域若しくは準都市計画区域の指定若しくは変更又は第六十八条の九第一項の規定に基づく条例の制定若しくは改正によりこの章の規定が適用されるに至つた際現に存在する道
四 道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法による新設又は変更の事業計画のある道路で、二年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの
五 土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの

建築基準法第42条

道路法によって認定を受けている道路は、道路台帳が法律で保管が定められており、それが建築物の敷地との道路境界線です。

つまり、道路法によって認定を受けている道路は、その道路の区域境界線が道路境界線です。

道路台帳の意義道路台帳は、道路法第28条及び同法施行規則第4条の2の規定に基づき、道路管理者が路線ごとに調製、保管を行うことと定められています。道路管理者がその管理する道路の管理事務を円滑に遂行するためには、当該道路の区域の境界線、施設の現況、占用物件、沿道の状況等管理の基礎的事項の把握が必要不可欠です。また、道路の沿道の関係者のためにも、道路法が及ぶ領域を明確にしておく必要があります。

https://www.pref.saitama.lg.jp/a1006/jigyousyoukai/douro-daityoueturan.html (埼玉県庁HP参照)

しかし、道路法によって認定を受けていない道路については、道路境界線は、明確に定められていません。
道路認定を受けていない道路に接して建物を建築する際は、その道路境界線について役所と協議などが必要になります。

例えば、幅員が4メートル未満の42条2項道路の場合は、敷地を後退する必要があり、その後退部分についての境界に関して確認する必要があります。

2 (略)~現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートルの線をその道路の境界線とみなす。

建築基準法42条2項抜粋

例えば、東京などでは、狭隘協議などをしなければならない自治体が多く、協議を経て道路境界線が決められます。

世田谷区では下記のような道路を「狭あい道路」と呼び、拡幅整備の対象としています。建築基準法第42条第2項により指定されている道路(2項道路)建築基準法第42条第1項第5号により指定されている道路のうち、指定幅員が4メートルの道路(位置指定道路)建築基準法第43条第2項第2号により許可される通路(許可通路)これらのうち、現況幅員が4メートル未満の道路を「狭あい道路拡幅整備事前協議」の対象としています。

https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/sumai/009/001/002/d00014903.html(世田谷区役所HP参照)

そして、この後退部分について、役所に寄付すれば、筆界と道路境界線はイコールになります。

そして、この後退部分について、役所に寄付すれば、筆界と道路境界線はイコールになります。
しかし、役所に道路の使用権を承諾するだけだと、道路境界線は筆界等は異なることになります。
道路境界線が異なる場合は、その境界線をしっかり管理をしないと、境界の不明確化へ繋がります。
道路境界線については、不動産登記法や建築基準法の関係法令なども影響するため、その境界判断は専門家でないと判別するのが難しいです。

敷地境界線とは

敷地境界線は、ある建築物の敷地として供されている土地の区画を示すものということになります

境界・私道の法律相談Q&A 安藤一郎著参照

敷地境界線とは、隣地境界線と道路境界線を含めた用語であると考えています。

まとめ

建築おける境界とその他の境界との違いをテーマに記事を作成しました。
世の中には、建築おける境界など、それぞれの法律に基づき、様々な境界線があります。
そして、建築における境界、登記所が扱う筆界、所有権に基づく境界、借地権境など、その扱う境界について考慮して、確認しなければなりません。
土地家屋調査士は、その境界を扱う専門家です。『杭を残して悔いを残さず』と土地家屋調査士のスローガンとしてありますが、不明確な境界は時間が経つとさらに解決が困難になります。
何か境界についてご不明なことがございましたら、お近くの土地家屋調査士にお問い合わせください。

土地家屋調査士 小川曜(埼玉土地家屋調査士会所属)

タイトルとURLをコピーしました