2024年9月、測量業の登録をするための株式会社を作りました。
その際、司法書士の先生に頼むことなく、定款認証と登記申請のどちらとも、個人のマイナンバーカードで電子申請の手続きを行いました。
なぜなら、マイナンバーカードの電子署名を使用した、登記申請を経験することで、電子申請の仕組みを理解するいい機会と考えたからです。
申請用総合ソフトは、普段の申請業務で使用しているのですが、普段使わない機能を使う経験をすることで、電子申請についてより理解できたと感じます。
マイナンバーカードを利用して、会社設立をする手順等を記事にしておりますので、是非読んでくださればうれしく思います。
電子申請に必要なものを購入する
土地家屋調査士等の士業が電子署名をする場合は、資格者としてのファイルデータの電子証明書を使用することが一般的であるため、専門職であってもマイナンバーカードをカードリーダに差し込んで電子署名する方法は知らない方が多いと思います。
実際、私も土地家屋調査士の業務上では、ファイルデータの電子証明書を使用して、登記申請等をしていたため、マイナンバーを利用しての電子署名は今回が初めてでした。
そのため、マイナンバーカードを読み取るためのカードリーダーと電子署名用のツールを新たに用意しなければなりませんでした。
しかし、新たに高価な機材を購入やソフト購入する必要はなく、カードリーダーだけでの購入で済みました。
なぜならば、カードリーダー以外のツールも無料体験期間等を利用することで、実質無料で用意することが出来たためです。
(登記申請のための電子署名は申請用総合ソフトに備わってますし、定款認証においてはアドビの有料ソフトを使用し電子署名をしなければなりませんが、体験用の無料期間での使用で十分対応できます。)
次から具体的に必要な申請方法を記事にします。
カードリーダーを用意する
アマゾンなどで購入することが出来ます。
マイナンバー対応機種一覧があるため、その中から購入するのが一番です。
https://www.jpki.go.jp/prepare/pdf/num_rwlist11.pdf
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USBで繋ぐだけで使用できるカードリーダーを購入したため、その後の設定やプラグインのインストール等はせずに済みました。
測量業の登録も電子申請で行ったのですが、その際もカードリーダーを利用しマイナンバーカードで電子署名をしました。
そのため、登記申請以外でも電子申請を積極的に取り入れていきたい方は、カードリーダーを使う機会は今後もあると思うので、購入する価値はあります。
また、カードリーダーでマイナンバーカードを読み取る場合は、JPKI利用者ソフトをダウンロードしインストールする必要があります。
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ダウンロードやインストールの方法は以下のURLをご参照ください。
申請用総合ソフトを用意する
法務省関係への電子申請に関しては、申請用総合ソフトが無料で配布されており、そのソフトをダウンロードします。
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この申請用総合ソフトは、土地家屋調査士として日々使用するため、操作方法について抵抗感はありませんでした。
不動産登記申請でしか使用していなかったこともあり、商業登記申請と公証役場への手続は不慣れでした。
しかし、マニュアル等を読めば難なく操作できます。
このソフト一本で、商業登記申請や公証役場での手続きができます。
タブで切り替えることで、それぞれ申請内容を確認できます。
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マイナンバーカードを使用して電子署名をできるようにする(申請用総合ソフト編)
申請用総合ソフトですが、デフォルトではカードリーダーでマイナンバーを読み取る機能が備わっていないため、上記に記載したJPKI利用者ソフトをダウンロードしインストールし、申請用総合ソフトで少しばかり、設定が必要になります。
具体的な方法は以下のURLを参考ください。
https://www.touki-kyoutaku-online.moj.go.jp/static/kojinbangocard_151211663.pdf
以上の設定をすることで、申請用総合ソフトだけでほとんどの電子申請に対応することが出来ます。
土地家屋調査士業務だけであれば、これだけで十分です。
しかし、電子公証関係手続等の添付書類のPDFファイルには出来ないと記載いてあるため、会社の定款の認証手続きにおいては、別の方法でPDFに電子署名をしなければいけなく、それに必要なのがアドビのソフトであり、その設定が一番苦労しました。
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マイナンバーカードを使用して電子署名をできるようにする(アドビソフト編)
アドビのソフトで、PDFファイルをマイナンバーカードを使用し電子署名するためには、電子署名プラグインをダウンロードしインストールしなければなりません。
申請用総合ソフトと同じページからプラグインをダウンロードすることが出来ます。
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土地家屋調査士業務でもアドビソフトを利用しての電子署名をしており、ファイルデータの電子証明書と同様にマイナンバーカードでの電子署名も難なくいくだろうと思っていましたが、一番設定に苦労しました
設定方法はホームページに記載していますが、アドビソフトについて32bitのを使わなければいけないことや、またインターフェイスが操作設定マニュアルのと若干異なっているため、記載通りにはできません。
まず32Bitのものをインストールしなければなりません。
検索からだと上手く見つけられない可能性があるため、マニュアルのURLからダウンロードすることをお勧めします。
https://www.koshonin.gr.jp/pdf/MyNuberCard-Electronic_signature_v1-1.pdf
ダウンロードしたアドビソフトに電子署名のプラグインを利用できるように設定します。
ここがマニュアルに記載のインターフェイスと異なるため、苦労しました。
しかし、電子署名のプラグインをアドビソフトで使用できるようにする設定をすることを考えれば、どうにか感覚で設定をすることが出来ると思います。
以上に手順を記載します。
メニューから環境設定を開きます。
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環境設定から署名を開き、電子署名プラグインのソフト名であるSignedPDFへデフォルトの署名方法を変更します。
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以上の設定により、プラグインであるSignedPDFを利用しての署名方法になりました。
そして、SignedPDFのソフトについての詳細設定をするため、メニューからプラグインを開き、プラグインソフトであるSignedPDFを開きます。
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SignedPDFの設定に関してはマニュアルを確認し、署名者情報等を必要があれば変更します。
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以上の設定により、マイナンバーカードでPDFへの署名をアドビソフトですることが出来るようになりました。
その後、すべてのツールから証明書を使用を選択し、マイナンバーカードで電子署名を行います。
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証明書を使用からデジタル署名を選択し、PDFにドラックし、電子署名をおこないます。
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電子署名が完了すると、電子署名がある旨と、PDFに印影等が表示されます。
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以上でPDFへの電子署名は完了です。
電子署名後の電子定款であるPDFファイルを申請をし、認証手続きが完了したら、申請用総合ソフトで会社設立登記の申請をします。
電子公証の申請と登記申請をする
定款認証の申請の際に、設立登記と同時申請でない方を選択しましたが、その設定だと定款認証を終わった後にインターネットを通じて申請総合ソフトに電子定款のファイルが届くのではなく、公証役場からCD-Rで電子定款ファイルをもらうことになるそうです。
そのため、電子認証の完了の通知は申請用総合ソフトにきますが、電子定款ファイルはCD-Rでもらいました。
公証人の先生から、同時申請を選択しない限り、設立登記をすべて電子申請のみで出来ないとのことでしたが、申請用総合ソフトでCD-Rに保存されている電子定款ファイルを読み取りすることが出来たため、CD-Rを法務局に持ち込むことなく、申請が出来たので助かりました。
電子公証のファイルを読み取り、設立登記のテンプレートがあらかじめ申請用総合ソフトに用意できているため、それを参考に定款に記載の事項を転記していきました。
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申請後2日ほどで完了しました
無事に会社設立が完了して、よかったです。
まとめ
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
普段、不動産表示登記のみしか申請用総合ソフトしか使用していなかったため、普段使用しない機能を使う経験ができ、とてもいい経験が出来たなと感じています。
また、定款の認証の際に、公証役場の方から代理と何度も間違われたりしたため、電子で定款認証をする方はとても少ないんだと感じました。
今回の記事が電子申請の設定方法に苦労されている方へ、少しでも役立てることが出来たらなと思います。