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地積測量図の分類について

地積測量図は、土地の筆界を確認する上で、公図等の地図に比べ、詳細な辺長の記載がされていることが多いことから、土地の筆界を確認する上で、重要な図面資料です。

地積測量図について、表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針(令和4年4月14日付け法務省民二第536号依命通知)を読む機会があり、改めて地積測量図について理解を深めることが出来ました。

今回は、このような地積測量図について多くの方と共有したいと思い、ブログ記事にしました。
ただ、地積測量図は、時代ごとだけではなく、地域ごとも相違する点が多くあります。

本記事については、あくまで参考として読んで頂き、詳しいことに関しては登記官や土地家屋調査士に必ず調査をお願いしたいと思ってます。

表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針(令和4年4月14日付け法務省民二第536号依命通知)ーー12ページあたりに記載されています。

地積測量図とは

昭和35年の「不動産登記法の一部を改正する法律(昭和35年法律第14号、昭和35年4月1日施行)」及び土地台帳法の廃止により、不動産の表示に関する登記が法に創設された。これに伴い、登記簿と土地台帳の一元化指定期日以後に筆界関係登記の申請をする際には、一筆の土地ごと(分筆の登記の場合は、分筆前の一筆の土地ごと)に測量の成果に基づいて作成した図面である地積測量図を申請情報と併せて提供するものとされた。

表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針(令和4年4月14日付け法務省民二第536号依命通知)より引用

地積測量図とは、上記の引用の通り、”一筆の土地ごとに測量の成果に基づいて作成した図面である”ということになり、土地の筆界を調べる上で、実務上重要な参考資料とされています。

補足ですが、昭和35年度の不動産登記法の改正以前、土地の面積などの土地の情報の管理は、土地台帳法という法律に定められており、その管轄は税務署でした。
その当時は、主に土地を分割するたの分筆の申告をする際の添付書類として、申告図を作成していました。
それから、昭和35年に登記と土地台帳制度が登記簿に一元化され、土地の地目や面積などの台帳事務については登記所に移管されました。
それに伴い、旧土地台帳と付属して税務署が管理していた公図や分筆申告図も法務局に移管されました。
しかし、登記所に引き継がれ保管されている例は少なく、また登記所に保管されることになったとしても、保管期間は10年とされていたこともあり、今現在保管されている例は少ないようです。

私自身、申告図を関東ではほとんど見たことや聞いたことはないですが、大阪では実際に登記所で閲覧し調査した経験があります。
その時のことですが、閲覧室で該当地域の台帳一式をバインダーで渡され自分で探すというものでした。(もちろん閲覧に対する手数料は無料です。)
きちんと並び順に保管されているわけではなく、またかなり自由に扱ってよく、昔の貴重な図面なのにこのような扱いでいいのかなと疑問に思ったことが印象に残っています。
今となっては、たとえ昔の貴重な図面だとしても、その資料が信頼できるものかは疑問があり、また廃棄するのも難しいからこその扱い方なんだと思います。

地積測量図について時代ごとに信憑性は異なる

この地積測量図に記録すべき情報は、法務省令である旧不動産登記法施行細則(以下「旧不登細則」という。)に定められたが、旧不登細則の一部改正及び規則の施行(平成17年3月7日)によって地積測量図に記録すべき情報の内容が改正されたため、地積測量図の提供の時期ごとに図面から得られる情報は異なることとなり、登記所に提供された地積測量図についての現地復元性の一般的評価は、次のアからエまでのとおりとなる。

表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針(令和4年4月14日付け法務省民二第536号依命通知)より引用

(ア)昭和35年以降の一元化指定期日から昭和52年9月30日まで

この時代の地積測量図の特徴は、境界標の記載は義務づけられていなかったことです。

境界標が記載されておらず、隣地との境界確認や立会も不要であることはもちろんのこと、現地を測らず図面を机上で測り、分筆をすることもありました。
そのため、この時代の地積測量図はその図面の信憑性に疑問があります。
実務上でも、あくまで参考資料として扱い、現地の状況や利害関係人の証言による証言によっては、筆界の位置を特定するための資料として有効なものでないと判断されることも少なくないです。

また、昭和41年3月31日までの間は、宅地及び鉱泉地の地積は坪・合・勺、それ以外の地積は歩・畝・段・町として定めることができる、とされていたため、地積は坪等、辺長等は間で記載されていました。
m単位になったのは昭和41年4月1日からであり、地積は平方メートル(㎡)を単位とすることとなり、辺長もメートル単位で記載されるようになりました。

坪と㎡の関係一坪=約3.306m
間とmの関係一間=約1.8181
(地域ごとに異なる場合もあります。)

昭和35年法務省令第10号による改正後の旧不登細則第42条の4第1項本文は、「…地積ノ測量図ハ…三百分ノ一ノ縮尺ニ依リ之ヲ作製シ地積ノ測量ノ結果ヲ明確ニスルモノナルコトヲ要ス」と規定していた。そして、昭和37年法務省令第10号による改正後の同項本文は、「…地積ノ測量図ハ…三百分ノ一ノ縮尺ニ依リ之ヲ作製シ方位、地番、隣地ノ地番並ニ地積及ビ求積ノ方法ヲ記載シタルモノナルコトヲ要ス」と規定していた。当初の地積測量図は、測量の結果のみを明らかにすることが目的とされていたが、その後、方位、地番、隣接地番、地積及び求積方法など現地における土地の区画の形状を把握することのできる情報の記録が定められた。しかし、境界標の記載は義務付けられておらず、機能としては面積測定機能のみであり、現地復元性が低いものであった。

表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針(令和4年4月14日付け法務省民二第536号依命通知)より引用

(イ)昭和52年10月1日から平成5年9月30日まで

この時代の地積測量図の特徴は、原則として境界標を地積測量図に明確に記録することとしたが、境界標がない場合には、特になにも記載する必要もなかったそうです。
この年代の地積測量図は、実務上において、現地における筆界の位置を特定するための資料として有効な図面資料として扱われることが多いです。

昭和52年法務省令第54号による改正後の旧不登細則第42条第1項本文は、地積測量図の縮尺を250分の1とする旨を規定するとともに、同条第2項は、「前項ノ地積ノ測量図ニハ土地ノ筆界ニ境界標アルトキハ之ヲ記載スベシ」と規定し、前記アに加え、境界標の設置がある場合にはその境界標を記録することとされた。地積測量に基づいて設置あるいは確認した境界標を地積測量図に明確に記録し、これによって、現地復元性を有する図面としての役割を持たせ、後日における境界紛争や机上分筆の防止を目的とした。しかし、境界標の設置がない場合に、常に近傍との恒久的地物との位置関係を記録する規定にはなっておらず、現地復元性を付与するという観点からは不十分であった。

表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針(令和4年4月14日付け法務省民二第536号依命通知)より引用

(ウ)平成5年10月1日から平成17年3月6日まで

この時代からは、三斜で作られた図面ではなく座標で作られた図面も多くなり、実務を行っていく中でも、その筆界の現地復元能力が高くなってきていることが手に取るように分かります。
筆界に境界標があるときは記載し、境界標がない場合は適宜近傍の恒久的な地物との位置関係を記載しなければならなくなました。
また、境界確認や立会などの手続きも行われるようになり、実務上でもかなり信憑性がある現地における筆界の位置を特定するための資料として有効な図面資料として扱われます。

平成5年法務省令第32号による改正後の旧不登細則第42条第2項は、「前項ノ地積測量図ニハ土地ノ筆界ニ境界標アルトキハ之ヲ、境界標ナキトキハ適宜ノ筆界点ト近傍ノ恒久的ナル地物トノ位置関係ヲ記載スベシ」と規定した。地積測量図に記録すべき情報として、前記イに加え、境界標の設置がない場合には適宜の筆界点と近傍の恒久的地物との位置関係を記録すべきこととされたことにより、現地復元性が強化された。

表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針(令和4年4月14日付け法務省民二第536号依命通知)より引用

(エ)平成17年3月7日以降(現在)

今現在は、基本三角点に基づく成果により作られることが求められ、現地における筆界の位置を特定することのできる極めて重要な資料として扱われます。

現在の地積測量図による成果は、原則では基本三角点等に基づいた成果である世界測地系によって作成されますが、それが出来ない場合には任意座標系のよって作成されます。

任意座標の場合には、現地の境界標の状況やその近傍の恒久的地物によっては、筆界の復元のための基礎情報を読み取るのですが、その境界標や近傍の恒久的地物の状況によっては、現地復元性が低いものと評価されることもあります。

地積測量図に記録すべき情報は、方位、地番(隣接地の地番を含む)、地積、求積方法、縮尺、筆界点間の距離、平面直角座標系の番号又は記号、基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値、境界標の設置がある場合にはその境界標、測量の年月日及び基本三角点等に基づくや測量ができない場合には、平面直角座標系の番号又は記号、基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値に代えて、近傍の恒久的な地物に基づく測量の成果による筆界点の座標値とされた(「平面直角座標系の番号又は記号」及び「測量年月日」は平成22年4月1日法務省令第17号による不動産登記規則の改正に伴い盛り込まれた。)。筆界点の座標値をも地積測量図の記録事項とし、かつ、その測量に当たっては、基本三角点等に基づいて行うことが示されたことにより、現地復元性はより高いものとなった。

表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針(令和4年4月14日付け法務省民二第536号依命通知)より引用

現地の境界標の状況やその近傍の恒久的地物の有無について

原則、基本三角点等に基づいて行なうこととされていますが、必ずしも全ての現場で出来る訳ではありません。

近くに基本三角点などがない場合は、任意に設定された座標値により測量が行われます。

その任意に設定された座標値(任意座標)による地積測量図の場合は、現地の境界標の状況やその近傍の恒久的地物の有無などにより、境界を復元出来ない場合もあります。

その場合、その筆界の復元能力の低い地積測量図として評価されてしまいます。

この記録すべき情現地に報の内容を踏まえると、規則が施行された平成17年3月7日以降に提供された地積測量図は、高度な現地復元性を有しているため、筆界の復元基礎情報といい得る図面情報が記録されている図面に該当する。また、規則の施行前に提供されたものであっても、そのうちの一部の図面には土地を構成する複数の筆界点と複数の近傍の恒久的な地物との位置関係の情報の記録がされているなど、筆界の復元基礎情報といい得る図面情報が記録されている図面に該当する場合があるため、個々の図面ごとに評価すべきである。また、復元基礎情報といい得る図面情報が記録されていない図面の場合であっても、例えば第1の4解説に記載された方法は、当該図面を利用した筆界認定の手法の一例となり得る。

表示に関する登記における筆界確認情報の取扱いに関する指針(令和4年4月14日付け法務省民二第536号依命通知)より引用

まとめ

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

今まで土地家屋調査士業務を行なっていく上で、時代ごとの地積測量図の持つ現地復元性に関しては何となくは分かるものの、しっかり言語化されていないまま実務に当たっいた部分もありました。

今回の通達で、地積測量図の時代ごとの現地復元性について、改めて調べ、そして再認識ができました。

本記事の内容に関しては、しっかり調べてはいるものの、一部地域のみのことや一部誤記等もある可能性もあることもご了承ください。

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土地家屋調査士 小川曜(埼玉土地家屋調査士会所属)

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