測量士になるためには、特定の学校を卒業し特定の期間の特定の実務経験を積むか(又は特定の養成施設を卒業)、測量士試験に合格しなければなりません。
私は、試験合格で測量士登録をしたのですが、社会人の際に測量の養成学校である東京都の中央工学校の測量科を卒業したため、測量の実務経験でも測量士登録できました。
しかし、結局、試験を受験し、試験合格による測量士登録を選びました。
実際に、測量士の多くは試験合格ではなく、実務経験で登録をしています。
今回は、実務経験でも測量士登録ができるのに、なぜ試験を受験し測量士を目指したか。
また、私が測量士になるまでを記事にしていきたいと思います。
測量士になりたいと考えている方は是非読んでいただけたらと思います。
なぜ私が測量士になろうとしたか
私自身、土地家屋調査士になりたいと考えていたため、土地家屋調査士の実務経験を積む中で、実務でも繋がりがある測量士の資格の取得を考えるようになりました。
測量士になりたいと強く意識していた訳ではありません。
そのような中、土地家屋調査士試験が8月から10月に試験日程の変更があったことにより、5月に行われる測量士試験と間隔が空いたことから、土地家屋調査士試験の合否に関わらず、試験を受けてみようと思うようになりました。
その後、運よく土地家屋調査士試験に2回目で合格することが出来、合格発表後の6月の新人研修や9月まで続くADR研修を受けることになり、測量士試験を受験する暇もありませんでした。
そして、多くの測量士の方と出会い、情報交換をする中、測量士試験を受験することに関して、消極的になっていきました。
なぜならば、測量士登録者の大半は測量養成学校を卒業して、測量士になることが多く、試験合格で登録した人に会ったことがなかったです。
そのため、わざわざ難しい試験を合格して、測量士になるのは非効率的なのではないかと考えました。
そのように考えるようになる中、測量も学べて実務で測量士登録できる測量専門学校に興味を持ちました。
2年の実務経験を積み、土地家屋調査士試験に合格したのにも関わらず、測量に関してよく理解できていないこともあり、基礎からしっかり測量を学んでいきたいとの気持ちが大きくなっていきました。
専門実践教育訓練を利用すれば、授業料等を(教育訓練経費の70%・年間上限56万円)や毎月一定額の失業給付のような支援金を受給できることから、その制度を利用すれば、金銭的な面を考慮することなく、専門学校に通うことが出来るため、測量専門学校に行くことへの後押しになりました。
以上のことから、測量士試験合格は一旦諦め、実務登録で測量士になることに決めました。
中央工学校測量科に入学することに
全国の主要都市には測量専門学校があり、いずれかのコースは専門実践教育訓練として認定されています。
しかし、測量士捕登録者が測量士に卒業と同時になることが出来るコースは、東京と名古屋にあるのですが、
専門実践教育訓練の口座として認定されているのは名古屋の専門学校のみです。
私は、測量士になることを急いでいないことから、卒業と同時に測量士になれるコースではなく、
実務経験が2年間必要だけれども、自宅から通え、専門実践教育訓練の対象の中央工学校測量科に入学することにしました。
対象講座については、厚生労働省のサイトから調べることが出来ます。
入学時期が2020年で、コロナの時期で先の見えない時期となりましたが、リスキリングの時期と考え、むしろ力をつけていく時期としてとらえていました。
実際に、基準点測量や現況測量を関数電卓で計算をし、計算簿に手で記入し計算を行ったことから、測量の基礎が身についたと思ってます。
特に、今は測量ソフトで計算することが多く、観測手簿や記簿等の計算簿を意識せずに測量の成果値を得ることが出来ます。
実際にそれぞれの計算簿を関数電卓で計算し記入することで、それぞれの計算簿がどのような意味があるかを知り、測量の基本を身に着けることが出来たと思います。
測量に関する実務の情報は断片的な情報が多いため、一連の測量の流れを体系的に学ぶことが出来、貴重な知識と経験を得ることが出来たと思ってます。
中央工学校を卒業してから
中央工学校を卒業したら、実務経験を積むことで測量士になることが出来ます。
実務経験に関して2つの事項を、国土地理院に確認しました。
1つ目は、自分自身が土地家屋調査士として業を行っている場合、その測量を行う際の実務経験は、登録に必要な実務経験に算入されるか
2つ目は、それが算入される場合の証明をどのように行うかを確認しました。
国土地理院の回答によると、土地家屋調査士の測量に関する実務は、実務経験に算入することはできるとのことでしたが、立会等は算入することはできなく、指定する測量業務のみ実務経験に算入することが出来るとのことです。
そして、その実務経験の証明は自身が代表者であれば、自分自身で証明をすればよいとの回答でした。
私の場合は、卒業後に自らの土地家屋調査士の業務における上記の実務経験を積み重ねていくことが、測量士になるために必要になります。
測量士試験の受験
本来ならば、測量専門学校を卒業した場合、実務で登録することが一般的であり、測量士試験を受験することはありません。
しかし、私は測量士試験を受験する道も選びました。
資格を取得するならば試験合格で取りたいとの思いもありますが、
それ以外にも大きく3つ理由がありました。
一つ目は、早く測量士登録をしたかった。
なぜならば、近いうちに測量のための株式会社を作りたいと考えており、その法人で測量業登録したいとの思いがあったためです。
公共測量等をしない場合は、必ずしも測量業登録をする必要はありませんが、対外的な信頼等も考慮すると、測量業登録をしておくべきだと考えました。
測量業を登録するためには、測量士が営業所に一人は必要なため、すぐにでも測量士を取得する必要があり、試験に合格することが一番最短で取得できる手段でした。
二つ目は、知識の再確認とGPSとGIS等の知識を体系的に学びたかった。
測量専門学校等で学んだ測量に関する知識を再確認し、GPSとGISについて体系的に学びたいとの気持ちがあったためです。
測量士試験の勉強ですが、測量専門学校で行列等の測量計算や測量法を一通り学んでいたため、新たな知識を学ぶことはなく、知識の定着と理解を深める勉強をしていました。
測量試験合格後の今を思い返しても、測量士試験に出題される内容は、一通り測量専門学校で勉強済みでした。
また、GPSについてはドロガーを使用し、GISについてはQGIS等を使用して、実務でどのように活用していくかを考えながら学びました。
ドロガーに関しては、実際に衛星測量をし、その誤差の程度などを、現場で確認しながら、どうすれば精度が高く測量できるのかを調べ考え、実務で使うことを意識して勉強しました。
また、QGISに関しても、法務省備え付け地図等のデータが公開されたこともあり、それを読み取り、航空写真と重ねたり、またどのようなデータ形式になっているかを調べたりと、実務で使うことを意識して勉強しました。
測量は実際にその機器やシステムを実際に使用しないとイメージできない概念が多いため、過去問をただ解くよりも、実りのある勉強ができたのではないかと思います。
知識の維持等も含めて、測量士試験の勉強してよかったと思ってます。
三つ目は、実務経験を証明する書類を作成するには結構手間がかかるためです。
土地家屋調査士業務の場合は、公共測量と比べて小規模な案件が多く、期間が短くなりがちです。
また、指定された測量業務のみ実務経験に算入することが出来るとなると、多くの案件を記載し、その中から指定された実務のみを区別して記載しなければなりません。
その労力と手間はかなり多く、日々記録に残さなければならないため、むしろ試験を受験した方が、手間が少ないと感じていました。
以上の理由から、実務経験での測量士登録も念頭に置きながら、測量士試験を受験することにしました。
1回目の受験は独立してから1年も経っていなかったため、ご依頼いただいている案件も少ないため、比較的勉強時間を確保することが出来ましたが、不合格という結果になってしまいました。
2回目の受験は実務で忙しかったですが、測量協会の実務研修などの受講し、またドロガーやQGISを実際に使用し勉強をしたことにより、試験勉強をしたわけではありませんが、一回目より知識は増え、試験問題を解く際も、実際に測量している場面をイメージすることが出来ました。
そして、どうにか2回目の受験で合格することが出来ました。
測量士登録
測量士試験を合格してから、すぐに測量士の登録をしました。
測量士捕と申請方法は同じであり、難なく申請することが出来ました。
試験合格の場合は、実務に関しての証明書等の必要書類がないため、氏名と住所等を記載して、合格証を添付するのみでした。
ただ、8年前の測量士捕の登録の時と違うのは、書面申請ではなく電子申請で申請したことです。
土地家屋調査士業務の登記申請は電子申請をほぼ使っており、電子申請に抵抗感がないため、迷いなく電子申請を利用しました。
e-govの電子申請は電子証明書や電子署名も必要ないため、気軽に利用することが出来ました。
標準処理期間が50日とありましたが、20日ほどで登録完了しました。
試験合格の場合は、実務で登録するのに比べて、審査しなければならない対象事項が少ないことも、完了までの期間に影響したんだと思います。
完了すると公文書がダウンロード可能になります。
そしてファイルをダウンロードをすると、ファイルの中身はPDFやXML形式のファイルがあります。
その中のPDFファイルを開くと登録証があることを確認できます。
オンラインでの手続きは、郵送の手間等を省くことが出来、また間違えた場合にはオンライン通じて修正することが出来るため、とてもお勧めです。
まとめ
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
測量士になるまでの経緯を記事にしました。
測量士になるまでの手段は一つではありません。
どの方法であっても、一人前の技術者と周りから認められたら、試験合格であろうと実務での登録であっても関係ありません。
測量士になりたい方の参考になって頂けたらと思います。