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財産を守る土地家屋調査士と税金を無駄遣いしない測量士

土地家屋調査士と測量士は、土地を測量や調査する仕事であるため、この二つの職業の違いは業界内の者であっても、明確に説明できるものは少ないと思います。

今回は、一般的な説明でよくされる土地家屋調査士と測量士の業務内容の違いだけではなく、そもそも目的が違う資格であるということを記事として取り上げたいと思ってます。

土地家屋調査士の業務とは

(業務)第三条 調査士は、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
 不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量
 不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続についての代理
 不動産の表示に関する登記の申請手続又はこれに関する審査請求の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第五号において同じ。)の作成
 筆界特定の手続(不動産登記法第六章第二節の規定による筆界特定の手続又は筆界特定の申請の却下に関する審査請求の手続をいう。次号において同じ。)についての代理
 筆界特定の手続について法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録の作成 前各号に掲げる事務についての相談
(略)

土地家屋調査士法3条

土地家屋調査士は以上の不動産登記法に関する測量をすることが法律に定められています。

つまり、土地家屋調査士は不動産登記を申請する際に必要な土地の面積などを算出するために測量を行い、そのための測量は土地家屋調査士にしかすることができません。

測量士の業務とは

(測量士及び測量士補)第四十八条 技術者として基本測量又は公共測量に従事する者は、第四十九条の規定に従い登録された測量士又は測量士補でなければならない

測量法48条

(基本測量)第四条 この法律において「基本測量」とは、すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院の行うものをいう。

測量法4条

(公共測量)第五条 この法律において「公共測量」とは、基本測量以外の測量で次に掲げるものをいい、建物に関する測量その他の局地的測量又は小縮尺図の調製その他の高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものを除く。
 その実施に要する費用の全部又は一部を国又は公共団体が負担し、又は補助して実施する測量
 基本測量又は前号の測量の測量成果を使用して次に掲げる事業のために実施する測量で国土交通大臣が指定するもの 行政庁の許可、認可その他の処分を受けて行われる事業 その実施に要する費用の全部又は一部について国又は公共団体の負担又は補助、貸付けその他の助成を受けて行われる事業

測量法5条

測量士は、基本測量と公共測量に従事することが法律に定められています。

基本測量は国土地理院が行う測量であることを測量法4条に規定されており、また公共測量は国又は公共団体が行う測量であることを測量法5条に規定されております。
いずれも測量士・測量士補でなければ従事することが出来ません。
そして、いずれの測量も税金を投入され行われる測量であることが共通しております。

つまり、税金を投入され測量を行う限り、その測量成果が多くの人にとって利益となるように、一定の基準で作成し、また無駄のないようにしなければなりません。

測量士はこの性質上、公共性がある測量を業務内容としていると言えます。

基本測量・公共測量や不動産登記に関する測量以外の測量

土地家屋調査士は不動産登記法に関する測量をし、測量士は基本測量・公共測量に関する測量をすることができます。
しかし、それ以外の測量はどうなっているのでしょうか。

(基本測量及び公共測量以外の測量)第六条 この法律において「基本測量及び公共測量以外の測量」とは、基本測量又は公共測量の測量成果を使用して実施する基本測量及び公共測量以外の測量(建物に関する測量その他の局地的測量又は小縮尺図の調製その他の高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものを除く。)をいう。

測量法6条

測量法6条に該当する測量は、基本測量又は公共測量の測量成果を使用されることで、多くの人に必要な測量成果を得れることが想定されます。
そのため、公益上の観点から測量法が適用され、測量士が従事が従事することが望ましいです。

しかし、測量法6条にも該当しないのであれば、特に資格は必要ありません。
狭い範囲の測量や高い精度が必要ない測量は資格がなくても出来ます。
具体的には、建築物を建てるような工事現場で行われる測量は測量法6条にも該当しないため、土地家屋調査士や測量士でなくてもよく、誰でもすることが出来ます。

土地家屋調査士の目的(使命)

(目的)第一条 この法律は、不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度について定めることにより、国民の権利の保全を図り、もって取引の安全と円滑に資することを目的とする。

不動産登記法1条

第一条(土地家屋調査士の使命) 土地家屋調査士(以下「調査士」という。)は、不動産の表示に関する登記及び土地の筆界(不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百二十三条第一号に規定する筆界をいう。第三条第一項第七号及び第二十五条第二項において同じ。)を明らかにする業務の専門家として、不動産に関する権利の明確化に寄与し、もつて国民生活の安定と向上に資することを使命とする。

土地家屋調査士法1条

不動産登記法は、不動産に関する権利を守り、そして円滑な不動産取引が出来るようにすることが、目的になっています。
そして、土地家屋調査士法はそれを受け、不動産の物的な状態を明確にすることが、土地家屋調査士の使命だとしています。
つまり、測量と調査により、不動産という財産を守り、そして円滑な不動産取引のために資することが、土地家屋調査士の目的と言えます。

測量士の目的

第一条(目的) この法律は、国若しくは公共団体が費用の全部若しくは一部を負担し、若しくは補助して実施する土地の測量又はこれらの測量の結果を利用する土地の測量について、その実施の基準及び実施に必要な権能を定め、測量の重複を除き、並びに測量の正確さを確保するとともに、測量業を営む者の登録の実施、業務の規制等により、測量業の適正な運営とその健全な発達を図り、もつて各種測量の調整及び測量制度の改善発達に資することを目的とする。

測量法

税金を使って行う測量は、税金を無駄の使いすることなく行う必要があり、それを担保するために測量士の資格があります。

測量の成果の正確さはもちろんですが、それと同じ又はそれ以上に重複などない無駄のない仕事を法律上で求められています。
税金を投入されて行われる公共測量という性格上、みんなのお金で効率よく仕事をし、その仕事の成果をみんなで共有できるようにします。

そのため、みんなで集めた税金でみんなのためになる測量をすることが、測量士の業務目的と言えます。

まとめ

最後まで読んでくださりありがとうございました。

土地家屋調査士と測量士の違いに関しては、多くの方が情報発信していますが、よく違いが判りませんよね。
土地家屋調査士は登記に関する資格であり、測量士は自治体などが行う広い範囲の測量をするとよく説明されます

しかし、私は業務内容で区別していくのではなく、その資格の目的で区別していく方が、その資格を理解していく方が資格を理解していくうえで実感を持てると思います。

国民の財産を守るための測量をする資格が土地家屋調査士、税金を無駄遣いしないように無駄のないように測量する資格が測量士です。

それは、試験内容でも反映しており、土地家屋調査士は不動産登記法や民法に関する財産に関する出題がほとんどであるのに対して、測量士は測量法や作業規定準則などの測量の手順や成果品の作り方などが出題範囲となってます。

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